Wednesday, November 30, 2016

高齢者が日本の人手不足を補う【A8面(国際面)】

日本では高齢者が人手不足を補っているという興味深い記事が11月30日の国際面に掲載された。


日本は急速な高齢化により、労働人口が減少し、深刻な労働者不足に陥っている。政府は移民受け入れを拒み、若者は魅力のない仕事に就かないので、魅力のない仕事を担うのは高齢者だ。高齢者が魅力のない仕事に就かざるをえなくなるひとつの理由は、60歳を境に大企業の待遇が悪くなり、大企業で魅力ある仕事に就いてきた多くの労働者が、60歳を超えると自ら会社の外に飛び出し、中小企業に転出する選択をせざるを得ないからだとしている。大企業では、60代前半の給与は50代後半の給与に比べ1/3低いそうだ。この結果、中小企業には能力のある高齢者が集まるが、そのノウハウを引き継ぐ若者がいないという問題が起きているとしている。

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高齢化社会で人手不足が起きた時に何が起きるか理解するためには、アベタカシさんについて考えてみよう。77歳の元マッサージ師のアベさんは、妻が病気になったので、家の近くで仕事を探していた。彼は、駐車場で交通整理の仕事に就いた。
「年齢制限がなかったのです。」とアベさんは言う。「健康であれば、誰でも働けるのです。」
その仕事は、どんな天気でも、アベさんに交通整理のため立っていることを要求きつい仕事だ。つい最近までは、そうした仕事は若者の仕事だった。しかし、人手不足を補うために雇用主は高齢者に目を向ける様になっている。
日本では経済が停滞していると言われているが、東京では多くの求人広告を見かける。失業率は3%まで低下し、政府は火曜日に失業者の数が1995年以降初めて2百万にを下回ったと発表した。
政府統計によれば、100人の求人に対して、140の仕事がある。この水準はこの25年で最大だ。
もし、今四半世紀の経済がエコノミストの予測通りに成長すれば、6年後には過去最長の経済成長となる。
成長はいまだに低調で、今年は1%以下になりそうだ。しかし、そんな低成長でも人手不足を発生させるには十分だ。日本は出生率の低下により、1990年代以降労働者人口が減少し続けているからだ。
政府は、労働者人口の下落を補うための大規模な移民政策を認めていない。人手不足に悩む企業が増えるに従って、65歳以上で仕事に就いている人の数は過去5年で33%増えた。
こうした統計は安倍首相にとっては喜ばしいものだ。彼は、女性や高齢者が労働に就くことによる景気高揚を狙っている。特に高齢者は全人口の25%を占めるに至っている。
人手不足により、若者は仕事のえり好みをする様になっている。一方で、高齢者があまり魅力的でない仕事を選ばされている。
「我々の最大の問題は、十分な人がいないことです。我々の産業は人を惹きつける魅力がありません。」とジャパンパトロール警備保障の中田文彦社長は言う。同社は、大規模な工事現場に警備スタッフを派遣している。「この産業で働く若者は将来に夢を描くことが出来ません。」
トラック産業や建設業界の幹部も同様に65歳以上の労働者の比率が高まっているという。若者は、仕事がきつく、賃金や福利厚生が比較的低水準なこれらの産業を避ける傾向にある。
多くの高齢者がこうしたきつい仕事につかざるを得なくなるのは、60歳を超えると大企業では彼らの役割が無くなってしまうからだ。法律では、企業は65歳まで雇用を保証することを要求されているが、同じ賃金や同じ仕事を保障する必要はない。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が昨年5,000人の60歳代を対象に行った調査によれば、、退職年齢に達した後も働き続ける場合、1/3の人が責任範囲が変更になったと回答した。また、80%の人が賃金が減少したと回答した。
求人会社であるリクルートの研究部門であるリクルートワークス研究所によれば、1,000人以上の企業では、60代前半の人の年収は、50代後半の人の年収より1/3少ない。
ハシモトヒデオさんが60歳になった時、彼が研究者として働いてきた食品関係の大企業は、彼に後4年間働いてもよいが、責任範囲や賃金は大幅に縮小するというオファーを出した。彼はそのオファーを蹴って、横浜の排水処理会社である日之出産業株式会社でパートタイムの顧問として働いている。
「私の現在の仕事は、以前やっていた仕事と完全に関係している訳ではありませんが、私のスキルを使うことは出来ます。」と彼は言う。「とても楽しいです。」
日之出産業のディレクターであるフジタカオリ氏によれば、高齢者を採用することにより、彼女の会社の様な小規模な会社が大企業の人材を惹きつけることが出来る。一方で、彼女は、ハシモト氏のノウハウを引き継ぐ若者を見つけることに苦労している。
「我々は、高齢者と若年層のバランスを求めている。」と彼女は言う。「しかし、小さな会社で働く若者を見つけるのは大変だ。」