日銀は11月1日、金融政策決定会合で、 金融政策の現状維持を決定したが、WSJは翌12日の国際面でこ のニュースを取り上げた。
「短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である10年物国債金利 をゼロ%程度に操作する金融調節を維持すること」「インフレ2% 達成時期が更に先延ばしされ2018年度になり黒田総裁任期中の 達成が困難になったこと」などを伝えている。 黒田氏のサプライズ戦術も消費者の悲観的なマインドを変えること が出来ず、 そのことが日銀の金融政策の失敗の主要要因だと言っているように 読める。
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日銀はアベノミクスにおける主役の座を放り投げた。当面の間は。
日銀は、9月にツールを再装備したが、 その後インフレ予測を大幅に下方修正したにもかかわらず、 火曜日にその政策を変更しないことを決定した。2%のインフレ目 標へ向けた勢いを維持するという目標の達成時期が不明確になって おり、日銀は今後の数ヶ月も主役を演じることはないだろう。
金融政策決定会合において、日銀は長期金利である10年物国債金 利をゼロ%程度に操作する金融調節を維持することとした。また、 短期の政策金利を▲0.1%もそのままにすることとした。
日銀は、2%のインフレ率達成時期が更に遠のいたことを認めた。 2%達成の新しい目標時期は、2017年会計年度ではなく、20 19年3月に終わる2018年会計年度頃となった。
黒田総裁は、価格が落ち込み続ける負のサイクル、 つまりデフレを必ず克服してみせるという安倍首相の政策を先頭に 立って引っ張ってきたが、 今回の動きは彼の任期が終わりに近づいていることを示している。
黒田氏の、 金融バズーガにより銀行に巨額のキャッシュをどんどん注入すると いうサプライズ戦術は、世界中の市場で投資家を驚かせ、 欧州中央銀行の様な他の主要銀行でもデフレと戦うための指針とな ってきた。
しかし、その戦術と不釣り合いに、成果は限定的なものに止まり、 かつては自信満々だった銀行家も、 いまでは謙虚になってしまった。黒田氏は、2年連続で、2%のイ ンフレ目標が達成できず、その後、よりゆっくりとした、 現実的なやり方へとそのアプローチを変更した。
「確かにデフレマインドを駆逐するのは簡単ではない。」と1週間 にわたる政策決定会合の後の記者会見で黒田氏は述べた。その際、 彼は、悲観的なマインド、価格下落、 低成長の間のネガティブループについて言及し、 これらが日本の停滞の原因だと述べた。
彼は、2年というタイムフレーム内に達成出来なかったのは、 残念だと述べた。
彼は、将来のアクションの必要性について、 銀行の新しい予測が実現出来るかではなく、日本のインフレが2% に向けてモメンタム(勢い) を維持できるかどうかで決定すると述べた。日銀は、9月に国債買 入れよりも長期国債の利回りを中心とした政策に転換したが、 その際にモメンタム(勢い) という新しいコンセプトを使い始めた。
黒田氏率いる日銀は、銀行セクターのキャッシュの量をほぼ3倍の 400兆円(約3.8兆ドル)に増やし、 マイナス金利を導入した。
しかし、日本の消費者はどんどん節約する様になってきており、 最近の9月のインフレ指数は7ヶ月連続でマイナスとなった。