Monday, February 4, 2019

油のついたスナックが菓子がスマホを汚すって?日本が解決策を提示。【A1面】

ポテトチップスを食べながらスマホをいじると、スマホが油で汚れてしまうという大問題について、日本のメーカーがついに解決策を見出したというユーモアあふれる記事が1面に掲載された。



【要約】小池屋の「ワンハンドスナック」やカルビーの「ポテトチップトング」など、海外の人たちからは、奇妙に見える面白い商品が紹介されている。

***** 以下本文【WSJ記事全文の和訳】*****
 ポテトチップスなどのスナック菓子。好きでも健康のことを考え、食べるのを控える人は多いはず。最近ではスマホなどのタッチスクリーンのことを気にする人が増えている。
 汚れた指のせいでスマホやパソコンのマウスなどがベトベトになるのは清潔好きにとっては耐えられないことだ。「小さい時は手で食べて指を舐めていた」と語る吉野智貴さん(19)。現在大阪でプロゲーマーを目指している吉野さんは「ある日ゲームのコントローラーが油まみれになって嫌になった」と中学生時代の思い出を話してくれた。
 一部のスナック菓子ファンは昔ながらの手法に解決策を見出している。メディア制作会社で働く岡崎ルビナさん(18は箸を使うと言う。「じゃないとソファで手を拭くことになるから」
 そんな中、スナック菓子かスマホかという決断を迫られなくて済む解決策が日本で登場した。ネットサーフィンをしながらでも片手で食べられるスナック菓子だ
 その名も「ワンハンド」。菓子メーカーの湖池屋が開発した同商品は一つ一つのスナックが小さい棒状で、まるでビンに入った飲み物のように流し込める。「人類待望の“手が汚れない”新スタイルスナック登場」と壮大なキャッチコピーで昨年5月から販売されている。
 商品開発の一つのきっかけとなったのが一部スナック菓子ファンの行動。彼らはスナック菓子の袋を手に取って口に近づけ、パウダーと呼ばれる味付けの調味料と残りかすを流し込むのだ。
 「それならば、流し込みやすくしたらどうかということになった」とワンハンドの開発チームリーダーを務めた下阪紘平氏は語った。
 完成までの1年、時には製造現場と激論になることも。「流し口の大きさは1ミリ単位で議論することもあった」と下阪氏。
 ワンハンドの販売実績は公表されていないが、昨年10月にはそれまでの2種類の味に加えて「超のり塩」を追加し、さらに新しい味も検討されていると言う。
 吉野さんと共にOCA大阪デザイン&IT専門学校でプロゲーマーを目指している是澤佳祐さん(19にとっては手が汚れないスナックは朗報だった。1日の半分ほどの時間をパソコンの前で過ごす是澤さんによると、以前は「ポテトチップスを1枚取って、すぐにウエットティッシュで指を拭く」動作を繰り返していたが、ワンハンドだとそのまま流し込めて「助かる」と話す。
 他の業界同様、スナック菓子の世界でもデジタルディスラプションによって明暗が分かれている。
 森永製菓は昨年9月に、1967年から販売している「チョコフレーク」の2019年での生産終了を発表した。溶けたチョコレートが指に付き、スマホが操作しづらいとの消費者の声が決断の一因だったとのことだ。一方で「チョコボール」の販売は同社によると「絶好調」。「(チョコボール)は溶けない」とは広報を担当する寺内理恵氏の弁。
 ポテトチップス業界最大手のカルビーは昨年12月にキャンペーンとして「ポテトチップストング」を、同社商品を買った一部消費者にプレゼントした。トングのパッケージには「手を汚さずに食べられる!」との文字が書かれている。
 ネット通販などではスナックトングが売られているが、昔ながらの箸を使うスナック菓子ファンも多い。
 森永製菓の寺内氏もその1人。「やはり手が汚れないし、スマホに限らず何かをしながらお菓子を食べることが多いので」と話す。
 一方で箸やトングを使う世代に違和感を覚える人たちもいる。スマホのスクリーンへの心配ではなく、健康上の配慮からスナック菓子は食べないようにしているという杉山夫妻がそうだ。スナック菓子を箸で食べる「不思議な世の中」になったと73歳の妻、芳子さんは話す。本当はもっとポテトチップスを食べたいと語る夫の雅之さん(82)はスナックの油が付くと指を舐めるので、いつも叱っていると芳子さんは言う。
 スナック菓子を食べれば手が汚れるのは米国でも同じだ。だが、「お口でとろけて、手にとけない」のキャッチコピーを1960年代から使っているのはチョコレート菓子のM&Msぐらいだ。
 吉野さんや是澤さんのようにeスポーツを学んでいる学生らにとってベトついた手は笑い事ではない。長時間に及ぶ対戦では空腹との戦いになることもあるが、「スナック菓子のかけらがキーボードにはさまったりすると死活問題だ」と是澤さんは語る。
 製菓会社にとってデジタル時代の課題は手が汚れることだけではない。いかにして若者の関心をスマホからスナックに向けるかは難題だ。「昔は、子供達は好きなスナック菓子を一緒に食べながら『おいしいよね』とか『楽しいよね』とか話していた」と湖池屋で広報を担当する山口直哉氏は語る。「今はコミュニケーションがスマホに移っている。会わなくても済んでしまう」と同氏は嘆いた。
WSJ日本語版にほぼ同じ内容の記事が掲載されていたので、同記事全文を引用させて頂きました。)