Tuesday, March 11, 2014

日本の関税へのサポートは衰退している【A12面(国際面)】

国際面で、日本の農業保護政策について、日米双方からその方針転換を迫る動きがある一方で、その固持を求める勢力もあることを報じている。

まず、この記事は、日本政府が長年固持している農業保護政策について、農業セクターの内部からすら批判が出ていることを紹介する。
「秋田県大潟村で農業を営む小林肇氏(46)は日本政府が長年続けてきた農業セクターの過度な保護をやめるべきだと考えている。」
「こうした小林氏の姿勢はちょっと異例だ。同氏は大潟村農業協同組合(JA大潟村)の組合長を務めている。JAは大きな影響力を持ち、日本の農業における価格競争を長年阻止してきた。」
「しかし今、小林氏のような農業セクター内部の人を含め、輸入価格の約9倍に上る関税や生産調整(減反)、複雑に入り組んだ補助金をはじめとする保護政策の妥当性に疑問を持ち始める人が増えている。」

そして、日本の農業が抱える問題を羅列し、その内の一つが農家を甘やかしてきたことだとする。
「日本の農業は問題が山積している。農業従事者の3分の2は60歳を超えている上、若者は都市で働きたがるため、多くの土地が未耕作のまま放置されている。農家を甘やかしてきたことで、日本の農業が価格や品質で国際的に競争できなくなっているとの批判もある。」

そして、農協がその甘やかしの一翼を担ってきたことを紹介し、その改革が必要だとする。
「JAは品質にかかわらず農産物を買い取ったり、農家への補助金や生産枠を取りまとめたりするなど日本の農業で中心的な役割を果たしている。また、農家に金融サービスを提供する国内最大規模の金融機関の1つでもあり、農業機械・用品の販売も行っている。」
「15ヘクタールの土地でコメを栽培する小林氏はJAが変化に疎く、改革に後ろ向きな年配者が多く、若い人がなかなか上に立てない組織になっていると指摘する。」
「『企業的感覚を持っている農家は、農協の資材が高かったり、農協から融資がもらえなかったりということがあって農協から離れざるを得なくなってきた。』と小林氏。米コロラド州の牛牧場で働いた経験もある同氏は、政府は生産調整をやめて農産物価格の下落を容認し、世界最大のコメ市場である中国で日本が競争するチャンスを与えるべきだと主張する。」

一方で、日本国内で農業政策に対する批判がある様に、米国でも日本政府の方針転換を求める声が大きい。
「米国も日本の農業の開放を求め、コメ農家がもっと日本に農産物を輸出できるようにしたいと考えている。現在のところ日本政府は方針を変えていない。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉行き詰まりの一因も、日本が農業関税を撤廃しようとしないとの声も多い。」

安倍首相は、方針転換に積極的である。
「安倍晋三首相は補助金や生産調整を段階的に廃止し、今後数年で日本の農業を改革する方針を表明している。」

しかし、日本では零細農家、米国では民主党のベテラン議員など、方針転換に反対する勢力も根強く残っている。
「しかし、零細農家をはじめ日本では依然多くの関係者が改革に反対しており、政府は慎重に事を進めざるを得ない状況だ。甘利明経済再生担当相は米国のTPP交渉担当官に対し、日本には交渉継続の一環として関税を撤廃する気はないと語った。」
「4月のオバマ米大統領訪日を前に、日米は今週ワシントンでTPP交渉打開に向けた協議を行う。米国では、民主党のベテラン議員による抵抗がやはりTPP交渉を難航させている。」
 
日本の農業政策の転換を強く望みながらも、その困難さも併せて強調している。